中央放射線部は一人一人の患者さんを大切にし、チーム医療の一員としての責任と自覚を持ち、業務を行っています。業務は大きく分けると、画像技術部門と核医学・放射線治療部門の2つに分かれます。
画像技術部門は、一般撮影、血管造影・IVR、CT、MRI等に分けられ、診断に有用な検査及び治療を日々行っています。
核医学・放射線治療部門は、核医学(ラジオアイソトープ)及びエックス線と電子線を用いた、悪性腫瘍(一部良性腫瘍を含む)の治療を行っています。
また、当院は三次救急医療機関として、救急医療に力を入れており、救急医療に必要な検査及び治療体制を24時間整えています。
当院では画像診断専用のCT装置として、Siemens社製 SOMATOM Drive(入院・診療棟)及びSiemens社製 SOMATOM Definition Flash(救急・外来棟)の2台のデュアルソースCTが稼働しています。
当院のCT装置は、最新のテクノロジーを搭載することで多様な診断領域で高い診断精度に加え低侵襲のCT検査を提供することができます。
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Siemens社製SOMATOM Drive | Siemens社製SOMATOM Definition Flash |
(1)低侵襲な検査
従来のCT装置は、患者さんの体型や検査に依存し、低管電圧撮影の適応には制限がありましたが、現行のCT装置では、低管電圧撮影が可能となり、被ばく低減に加えて造影剤使用量の低減を図ることができるため、患者さんに身体的負担の少ない検査が可能となります。
(2)多様な診断領域への対応
デュアルソースCTテクノロジーによって、高速撮影が可能となり、心臓を高画質で撮影することや息止めを行わずに広範囲を短時間で撮影することができます。また、組織の化学組成の鑑別が可能となるデュアルエナジー検査や血液や組織などの動きを描出することが可能となる4Dイメージングを広範囲に行うことができます。
MRI検査について
当院では3.0T-MRI装置として、Philips社製 Ingenia 3Tと1.5T-MRI装置としてSiemens社製MAGNETOM Avantoが稼働し、それぞれの装置の特徴に適した検査を効率的におこなっています。
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Philips社製 Ingenia 3.0T | Siemens社製MAGNETOM Avanto |
(1)3.0T-MRI
3.0T-MRIは、1.5T-MRIに比べ高い信号強度を有しており、細部においてもより高精細な画像を得ることができます。また、頭部領域においては、頭部専用の32チャンネル受信コイルを有しているため、短時間でより診断能の高い画像が取得可能です。
(2)1.5T-MRI
汎用性が高く、幅広い診断領域を安定して撮影することができます。MRI対応心臓植込型電気的デバイス(CIEDs)など静磁場強度に制限がある場合でも、対応が可能となります。
血管造影検査について
血管造影検査は、直径2mmほどのカテーテルという細いチューブを目的の部位まで挿入し、先端より造影剤を注入して、体の様々な部位の血液の流れ、血管の状態をとらえる検査です。動脈瘤の有無、血管の狭窄や閉塞、腫瘍の分布や血流状態などを診断し、動脈瘤のコイル塞栓、血管の狭窄部分を広げる治療や腫瘍に栄養を与えている血管を塞栓する治療(IVR)などを行います。
当院では、2020年1月に入院・診療棟が開棟し、血管撮影装置と同室にCT装置を設置したIVR-CT装置が導入されたほか、様々な外科的手術とIVRを組み合わせたハイブリッド手術室用装置、循環器用血管撮影装置2台(右心系、左心系)、緊急血管撮影装置1台の計5台の装置を有しており、多様な疾病に対して24時間緊急検査に対応しています。
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IVR-CT検査室
Siemens社製 Artis zee iBA Twin | 救急・外来棟
Siemens社製 Artis zee FA |
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ハイブリッド手術室
Siemens社製 Artis zeego | 循環器用血管撮影装置(右心・左心)
Philips社製 Azurion7 B12 |
乳房撮影(マンモグラフィー)について
乳がんの罹患率及び死亡率は、年々増加してきております。乳がんは、早期に発見し治療を行えば予後は良好であると言われております。特に触知できないような早期乳がん診断にはマンモグラフィーが有用とされています。
乳房はやわらかい組織でできているため、専用の装置を使って撮影します。撮影の際、衣服による影響を避け、乳腺の描出をよくするため上半身を脱衣して撮影を行います。
マンモグラフィーは、乳房の全体をより均一に描出するために圧迫板で乳房を挟み、薄く広げて撮影します。
当院では、片方に異常を認めない場合でも左右を比較するために上下方向と左右方向から両方の乳房を合計4回撮影します。(なお、乳がん検診の方の場合は、年齢によって撮影回数が異なります。)乳房を圧迫すると多少痛みを伴いますが、圧迫することにより被ばく線量の低減、呼吸や体動による写真のぶれ、乳腺を広く押し広げることにより乳腺内部がよく分かる等のメリットがあるため、ご協力をお願いします。また、撮影時期は、排卵後から生理が始まる頃までにホルモンの影響から、乳房が硬くなったり、痛みを感じたりする事がありますので、できれば生理が始まって2、3日後から1週間くらいの間で、検査を受けられるようにお薦めしています。
FUJIFILM社製 AMULET INNOVALITY骨密度測定検査について
骨密度(骨塩量測定)検査とは、骨の中にあるカルシウム、マグネシウムなどのミネラル成分がどのくらいの量あるのかを測定する検査です。このミネラル成分が不足してくると、骨がもろくなり(骨粗しょう症)、骨折しやすくなります。特に、閉経後の方に骨密度が低下する傾向があり、骨粗しょう症の診断のためには正確な骨密度の測定が必要です。気になる方は一度測定されてみてはいかがでしょうか。
骨密度検査にはいくつか方法があり、測定をする骨の部位も検査法によって異なります。当院では、装置台の上に寝ていただき、腰椎や股関節部分にエックス線を照射します。その透過率を即時にコンピュータ処理して骨密度の測定・分析を行います。
Hologic社製 Horizon W核医学検査(アイソトープ)について
微量の放射性同位元素(アイソトープ)で目印をつけた薬(放射性医薬品)を使って脳・心・肺・骨・甲状腺・腎など全身の臓器(疾患)の診断を行う検査です。
この検査は、アイソトープで目印をつけた薬を静脈注射または服用すると、検査目的の臓器や組織に集まります。このときに、身体から放出される微量のガンマ線・X線を体外から特別なカメラ(ガンマカメラ)で撮影してその分布状態を画像にします。アイソトープを投与すると身体の状態に応じた分布をしますので、X線写真やCTなどの形や大きさを調べる検査とは異なり、組織や臓器の機能や代謝を調べることができます。
当院のガンマカメラはSPECT-CT装置と呼ばれ、ガンマカメラによる機能や代謝を調べる画像とCT装置による臓器の形や大きさを調べる画像を同時に収集する機能を持ち、両方の画像を融合(Fusion)することにより診断の精度を上げることができます。
検査に用いるラジオアイソトープは、体に影響のないくらいの弱い放射線を出し、短時間で放射能がほとんどなくなるものを用いております。
検査にかかる時間は30~60分です。検査内容によっては 薬が目的臓器に集まる時間が異なりますので、薬の投与から2~4時間後または2~3日後に検査する場合もあります。当院の核医学検査は全て予約制で行っております。また、放射線医薬品の有効期限は当日限りのものが多いため、検査日のご都合が悪くなった場合は、必ず連絡していただきますようお願いいたします。
核医学検査で使用する放射性医薬品は、99Tc(テクネシウム)、123I(ヨウ素)、201Tl(タリウム)、67Ga(ガリウム)などの、半減期が6時間から3日と短く、急速に排出される安全性の高い薬品です。使用する放射性医薬品は微量(1~2cc)副作用は0.05%未満と非常に少ないので安心して検査を受ける事ができます。また、アイソトープからでる放射線の身体への影響はほとんどありません。
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Siemens社製 Symbia T16 |
放射線治療について
放射線治療とは、種々の放射線を用いてがんを治療する治療法です。患者さんへの肉体的負担が少なく、しかも機能・形態の温存を可能にする治療法です。
当院における放射線治療は、3種類のエネルギーのエックス線や6種類のエネルギーの電子線を体の外から当てて治療します。このエックス線や電子線のことを”放射線”と言います。放射線は、目に見えず、身体に当たっても痛くも熱くもありません。
手術では、痛みを伴うため、麻酔をかける必要がありますが、放射線治療では、その必要がありません。体の中にある病気を体の外から治療できます。当院において、放射線治療で用いられている”リニアック”という装置は、大きな装置で、高精度に作られています。必要な範囲以外には、放射線は当たりません。例として、胸の病気で胸に放射線を当てているのであれば、髪の毛が抜けてしまうといったことはありません。放射線は、電波や光、赤外線や紫外線などと同じ種類のものです。体に光が当たっても、体の中に光が残っているということはありません。これは、放射線も同じです。放射線は、体の中に残りません。放射線治療をすると、家族や付き添いの人にも、放射線が当たるということはありませんので、安心して下さい。
放射線治療の対象となる病気は、主に悪性腫瘍つまり‘がん’で、脳、食道、肺、前立腺、 乳房等多くの部位に対応します。欧米では、がん患者さんの約2人に1人が放射線治療を受けているなど、「がんの半分は放射線治療」は常識となっています。当院の放射線治療は、医師、診療放射線技師、看護師及び受付事務員のスタッフで行っております。
- 医師は、診察し、様々な情報を基に放射線治療の方針を決定します。
- 診療放射線技師は、医師によって決定された放射線治療の方針に従い、決められた場所へ、決められた量の放射線を照射します。
- 看護師は、治療経過を把握して有害事象の予防や日々の変化に合わせたケアの提供・指導を行います。
- 受付事務員は、問診票の記入依頼や受付業務などを行います。
放射線治療を受けるうえでの不安や悩みについて、お話を伺いながら、一緒に解決のお手伝いをさせていただきます。
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高精度放射線治療装置
Elekta社製Versa HD | 治療計画用CT装置
Siemens社製SOMATOM Definition AS20 Open |